乳癌カレントトピックス
がん患者の声を集約し,政策提言を目指す
天野 慎介
1
1一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長
pp.49-51
発行日 2016年8月10日
Published Date 2016/8/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.02.02_0049-0051
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「はじめに」 2006年に国会で成立した国の「がん対策基本法」は,当時「未承認薬使用問題」と言われていたいわゆる「ドラッグ・ラグ問題」がその起点となり,がん医療の向上を求める多くのがん患者や家族による切なる声へと拡がっていったことが,大きな役割を果たした。2006年には,国会でがん対策基本法が提案された際,いわゆる与党案(自民党および公明党)と野党案(民主党など)の一本化が進まないなか,同年5月に参議院本会議で,山本孝史参議院議員は自らもがん患者(胸腺がん)であることを初めて明らかにし,「がん患者は,がんの進行や再発の不安,先のことが考えられない辛さなどと向き合いながら,新たな治療法の開発に期待を寄せつつ,一日一日を大切に生きている」「いのちを守るのが政治家の仕事である」と,与党案と野党案の一本化と,国会での早期成立を訴えた。山本議員をはじめ多くのがん患者や家族の声が国を動かしたのであり,これがわが国における「がん患者の声による政策提言活動」の始まりでもあった。
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