誌上ディベート
センチネルリンパ節転移1個陽性の乳癌に対し腋窩リンパ節郭清を施行すべきか? 「施行すべきでない」とする立場から
津川 浩一郎
1
1聖マリアンナ医科大学外科学乳腺・内分泌外科教授
pp.42-46
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.02.01_0042-0046
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「はじめに」この数十年間に乳癌手術の低侵襲化が進み,乳房では乳房切除から乳房温存手術(BCS)へ,そして腋窩リンパ節領域では,腋窩リンパ節郭清(ALND)からセンチネルリンパ節(SLN)生検(SNB)へと進化した。SLN生検は安全かつ容易な手技で,ALNDと比較して有意に少ない後遺症発生率が大きなメリットと言える。その高い陰性的中率(negative predictive value)により,SLN転移陰性患者においてはALNDを問題なく省略することができる。一方で,SLN転移陽性の場合には,ALNDが標準治療であると最近までは考えられていた。しかしながら,SLN転移陽性例の約半数はSLN以外のリンパ節(非SLN)に転移を有していない。それらの症例ではALNDが不要である可能性が示唆される。今回,SLN1個転移陽性の患者に対してALNDは不要であるという立場で,最近の報告あるいはガイドラインを解説する。●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。・論点整理/南博信・「施行すべきである」とする立場から/武井寛幸・「施行すべきでない」とする立場から/津川浩一郎
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