Clinical Report
専門治療導入のみで抑うつ症状が改善したアルコール依存症の1例
岡山 達志
1
1特定医療法人大阪精神医学研究所新阿武山病院
pp.60-62
発行日 2016年2月10日
Published Date 2016/2/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.04.01_0060-0062
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「はじめに」アルコール依存症により気分障害が高率に併発することは広く知られているところであるが1)、アルコール依存症に気分障害が併発した場合、アルコール依存症に二次的に気分症状が出現したのか、気分障害に二次的にアルコール依存症を罹患したのか鑑別は困難なことが多い。しかしながら、解毒で抑うつ症状が改善することから2)、諸外国においてはアルコールの気分障害への影響を考慮し、本症専門治療を優先するよう推奨されている3)。一方、わが国では本症例約80万例に対して専門治療導入例が約4万例と報告されており4)、臨床現場においては他の精神疾患の診断下で精神科医療が導入あるいは継続されている可能性が懸念される。当院アルコール依存症入院医療管理加算算定病棟(Alcoholism Medication Center;AMC)入院症例のうち、さまざまな気分症状を有しベンゾジアゼピン(BZ)系薬剤をはじめとした向精神薬治療を受け紹介される症例が多く存在している。
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