Japanese
English
実践講座 精神科作業療法のエッセンス・4
アルコール依存症
The essence of psychiatric occupational therapy: alcohol dependence
浪久 悠
1
,
小砂 哲太郎
2
,
澤田 幸輝
2
,
桔梗 隆司
2
Yu Namihisa
1
,
Tetsutaro Kosago
2
,
Yukiteru Sawada
2
,
Takashi Kikyo
2
1国立精神・神経医療研究センター病院
2国立病院機構久里浜医療センター
1National Center Hospital of Neurology and Psychiatry
2National Hospital Organization Kurihama Medical and Addiction Center
キーワード:
アルコール依存症
,
就労支援
,
アプリ
Keyword:
アルコール依存症
,
就労支援
,
アプリ
pp.869-874
発行日 2023年8月10日
Published Date 2023/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202902
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国際疾病分類第10版(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Probrems:ICD-10)において,アルコール(以下,AL)依存症の診断基準は,① 飲酒への強い欲望または強迫感,② 飲酒開始,飲酒終了,飲酒量いずれかのコントロール障害,③ 離脱症状,④ 耐性,⑤ 飲酒のためにほかの楽しみや趣味を無視するようになり,飲んでいる時間が多くなったり,酔いが醒めるのに時間を要する,⑥ 明らかに有害な結果が起きているのに(身体障害や精神障害など)飲酒する,という上記6項目のうち,過去の1年間のある期間において3項目があてはまる場合とされる1).
AL依存症を抱える対象者の臨床像として,まず飲酒量の漸増により,耐性の獲得や内臓への重篤なダメージを負ってきている.長期間の飲酒習慣により,肝硬変や悪性腫瘍などが発見されることも珍しくはない.また脳萎縮や骨密度の低下,認知機能の低下など心身機能への著しい影響が認められる.一時的に飲酒量を減らそうと試みてきた者も多いが,耐えがたい離脱症状の緩和や些細なストレス,酒席の機会などの引き金から,飲酒を再開する者も少なくない.その経過のなかで,脳内に報酬系回路ができあがり,仕事や家族,趣味など自身が価値を置く生活行為よりALを使用することが生活の中心となり,コントロール障害が顕著となり依存が形成されていく.
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