TOPICS OF GI 消化器疾患のトピックス
第30回 「胃炎の京都分類」の臨床的意義
井上 和彦
1
1淳風会健康管理センターセンター長
pp.62-67
発行日 2020年2月20日
Published Date 2020/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.15.02_0062-0067
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胃がんや消化性潰瘍をはじめとする上部消化管疾患の発生にHelicobacter pylori(H. pylori)感染に伴う胃粘膜の炎症と萎縮が強く関連していることはすでに明らかになっている。そして,2000年に胃潰瘍・十二指腸に承認されたH.pylori保険診療の適用は,2013年には慢性胃炎にまで拡大された。すなわち,H.pylori感染者すべてが除菌治療可能になったが,上部消化管内視鏡検査(内視鏡)で胃炎と診断することが前提条件である。また,2016年2月に一部改正された厚生労働省健康局長通知「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」では,対策型胃がん検診の方法として,胃X線検査とともに内視鏡が認められた。今後,対策型検診においても内視鏡が主役になることが期待されるが,その際も胃がん診断に加え,H.pylori感染状態など背景胃粘膜状態の把握も大切と思われる。これまで多くの胃炎診断・分類が行われてきたが,それらを踏まえた上で,H.pyloriについて未感染・現感染・既感染(除菌後を含む)を区別できる分類とすることを最大の目的として,2014年9月に「胃炎の京都分類」が発刊された1)。その後,2017年にQ and A,2018年1月に改訂第2版が出版された2)。また,英語版が2017年に,中国語版が2018年に出版され,韓国語版も準備中である。
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