特集 CURRENT TOPICS 4th GAST SUMMIT JAPAN学術講演会ハイライト
GI Research Topics:ピロリ内視鏡診断 3 H.pylori未感染胃がんの現状
吉村 大輔
1
1済生会福岡総合病院消化器内科 主任部長
pp.29-31
発行日 2020年2月20日
Published Date 2020/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.15.02_0029-0031
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H.pylori未感染胃がんの形態・組織学的特徴について自験例を基に研究からまとめたい。H.pylori未感染の定義としては,感染診断,内視鏡診断,組織診断のいずれにおいても未感染と考えられるものを指す。H.pylori未感染胃がんは従来,胃がんの約1%とされていたが,その頻度は増加している。当院で直近4年間に内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)を行った早期胃がん症例における感染状況からも,H.pylori未感染は増加しており,胃がん罹患者の全体としては少数ながらも無視できる割合ではなくなってきている。当院では2005年4月から2019年6月までにH.pylori未感染胃がんを64症例経験した。大部分は早期胃がんかつ粘膜がんであり,分化型と未分化型の比はおよそ同程度であった。病変は部位別に大まかに3タイプに分類できた。噴門部または食道胃接合部領域の腺がん,胃型の形質を有する超高分化型ないし低異型度の腺がん,そして印環細胞がんである。
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