ピロリ未感染胃に認められる食道胃接合部領域の腺癌の内視鏡診断

Clinical and pathological characteristics of esophagogastric junctional and gastric cardia adenocarcinoma in H. pylori-naïve stomach

はじめに

　本邦におけるHelicobacter pylori（H. pylori，以下ピロリ）の感染率低下とその検診世代への到達^1）を背景に，ピロリ未感染胃癌の報告が増加している^2〜5）。これまで筆者らはピロリ未感染胃癌がその形態や組織型が背景粘膜・腺領域に強く関連し，多くが①噴門部および食道胃接合部腺癌，②胃底腺領域に発生する胃型形質を有する低異型度（超高分化型）腺癌，③胃底腺と幽門腺の境界領域に好発する印環細胞癌，④幽門腺領域に好発する（時に腸型形質を混じた）高分化型腺癌に分類しうると報告してきた^4〜6）。その後食道癌取扱い規約の改定（第12版）^7）により食道胃接合部（esophagogastric junction：EGJ）から食道側および胃側2cmの領域が食道胃接合部領域（zone of esophagogastric junction：Jz）と定義され，胃癌取扱い規約^8）と整合性が図られた。