TOPICS OF GI 消化器疾患のトピックス
第27回 機能性消化管疾患の薬物療法における最近の進歩
永原 章仁
1
1順天堂大学医学部消化器内科学教授
pp.64-68
発行日 2018年7月10日
Published Date 2018/7/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.14.01_0064-0068
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機能性消化管疾患(functional gastrointestinal disorder:FGID)は,25年以上前にRome委員会により提唱された。一部の疾患分類は臓器別であるが,これはその臓器に原因があると推定し,治療ターゲットとなりうるであろうということからである。しかし,実地臨床では機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD),過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)の合併例は多いが,臓器に原因を求めると,その理由は十分説明できない。その病態は,運動機能障害,臓器知覚過敏,粘膜炎症,脳腸相関などが関与し,これらが相対的に作用していると考えられている。最新のRome Ⅳ分類では成人33,小児20と多くのFGIDが定義されている1)。単一の病態ではないことから特効薬は存在せず,これまでにもさまざまな薬剤が試みられてきた。わが国では,機能性消化管疾患診療ガイドライン2014として,FD2),IBS3)が日本消化器病学会より刊行されており,日本消化器病学会関連研究会である慢性便秘の診断・治療研究会が慢性便秘症診療ガイドライン2017を発表している4)。本稿ではガイドライン刊行後の新たなエビデンスについて触れる。
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