TOPICS OF GI 消化器疾患のトピックス
第26回 早期大腸癌内視鏡診断の最前線
斎藤 豊
1
1国立がん研究センター中央病院内視鏡センター長・内視鏡科長
pp.65-69
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.13.02_0065-0069
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大腸癌死亡率はここ数年微減傾向を示しているものの,男性3位,女性で1位と,欧米と比較しても高い死亡率で推移している。大腸癌は早期発見しStage 0の段階で内視鏡治療することで,大腸癌罹患率ひいては死亡率も低下させることがほぼ確実視されている数少ない癌の1つである。また,便潜血検査受診率の向上とともに精密検査としての大腸内視鏡検査受診率の向上が急務である。今までは,便潜血検査が唯一科学的エビデンスをもって大腸癌死亡率抑制効果が証明された方法であったが,最近米国のNational Polyp Studyグループの研究結果および複数のコホート研究から,大腸内視鏡検査が大腸癌の発生抑制だけでなく,死亡率減少にも効果的であると報告された。精密検査としては,全大腸内視鏡検査が最も精度が高いものの,1次検診として施行するには,予算や大腸内視鏡医のマンパワーなど解決すべき課題が残る。一方,侵襲性に関しては内視鏡機器の進歩や挿入法の確立とともに,技術のある内視鏡医が行えば安全性のきわめて高い非侵襲的な検査であり,大腸内視鏡による大腸癌検診のあり方の検討も,角館STUDYや新島STUDYなど,すでに臨床研究として開始されている。
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