特集 CURRENT TOPICS 1st GAST SUMMIT JAPAN学術講演会ハイライト
2 胃・食道酸関連疾患診療・研究の最前線
飯島 克則
1
1秋田大学大学院医学研究科消化器内科・神経内科学講座教授
pp.22-24
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.12.02_0022-0024
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秋田県では2007年の調査開始当初は食道癌のほとんどが扁平上皮癌であったが,近年は腺癌が増加している。食道腺癌は逆流性食道炎からバレット食道というシークエンスで発生することが知られている。逆流性食道炎の傷害因子として胃酸や胆汁酸が注目されているが,我々は一酸化窒素(NO)に注目して研究を行ってきた。胃内で発生するNOは食事中に含まれる硝酸塩が元となって発生する。硝酸塩は口腔内細菌により亜硝酸塩に変換されて嚥下され,小腸で吸収されて25%が唾液中に再分泌される。この硝酸塩の腸~唾液再循環は食後数時間持続する。亜硝酸塩は酸と接触すると化学反応によってNOに変換される。そこで我々はヒトの体内では食道・胃接合部で亜硝酸塩が酸と接触してNOが発生すると推測し,健常ボランティアに硝酸塩2mmolを投与し胃内NO濃度を測定したところ,食道・胃接合部で限局性に30μMという高濃度のNOが検出された。
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