MESSAGE FROM EDITOR エディターズ・メッセージ
第21回 がんの予防はどこまで可能なのか?
浅香 正博
1
1北海道医療大学学長
pp.82-83
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.11.01_0082-0083
- 有料閲覧
- 文献概要
わが国における死亡原因をみると,脳血管疾患や心疾患などのメタボリック症候群由来の死因は近年頭打ちになってきているが,悪性新生物すなわちがんの死亡率は年々上昇しており,下降傾向を示していない。実際,わが国では毎年35万人を超える人ががんで亡くなっており,日本人の2人に1人はがんにかかり,3人に1人はがんで亡くなる時代になっている。 わが国の平均寿命は,戦後著しく延長し,2013年には女性86.61歳,男性80.21歳と女性は世界一,男性4位で総合第1位を維持している。実は,このことがわが国のがん死亡の増加と大きな関わりがある。すべてのがんを合わせた全がん死亡率をみるとがんは40代まではほとんど発生せず,男性では50代から少しずつ上昇を示し,60歳を超えると急速に増加する。女性は男性に比して上昇は緩徐であるが,70歳を過ぎると急激な上昇を示してくる。男性の80代では50代に比して約10倍もがんが発生する。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.