今月の臨床 婦人科における検査法—有用性と再評価
不妊
2.超音波によるLUFの診断はどこまで可能か
栃木 明人
1
,
栃木 武一
2
,
佐藤 和雄
1
1日本大学医学部産婦人科
2川口市立医療センター産婦人科
pp.913-915
発行日 1997年9月10日
Published Date 1997/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903018
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
原因不明の不妊症の一因として挙げられる黄体化無排卵卵胞(luteinized unruptured follicle:LUF)は,Jewelowicz1)により1975年に提唱されて以来注目されており,種々の検討2)が行われている.排卵の現象を知る方法は,従来基礎体温(BBT)が汎用されているが,LUFの症例では血中のプロゲステロン値の上昇が認められ,その結果,子宮内膜の分泌期像変化などが起こるため排卵の診断としては不確実である.排卵では卵胞発育に伴う成熟卵胞の形成に引き続く卵胞の破裂が起こり,腹腔鏡を用いて卵巣を観察すると,排卵後の卵巣にstigma(卵胞壁に破裂孔)が認められ3)排卵が確認されるが,手技的に頻回に行うことは困難である.
近年,超音波診断装置の技術的な進歩はめざましく,とりわけ経腟プローブを用いた装置の子宮および周辺組織の解像度は一段と向上し,頻回に施行でき不妊症関連領域での有用性はますます増してきている.本稿では超音波によるLUFの診断について述べる.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.