これからの緑内障診療のために「緑内障と近視」
第Ⅱ章 病態 ①近視眼の病態
吉田 武史
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科眼科学講座助教
pp.53-57
発行日 2015年8月31日
Published Date 2015/8/31
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.01.50_0053-0057
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「はじめに」日本を含むアジア諸国において近視の頻度が高く,近視人口が年々増加してきていることは社会問題となっている.近視の原因は眼軸延長によるものであり,特に強度近視眼では過度な眼軸延長に伴い,網膜だけでなく視神経やその周囲組織に構造変化が生じる.我々はこれまでの研究から,屈折度-8.0D未満もしくは眼軸長26.5mm以上の強度近視患者で絶対暗点の原因となり得る網膜萎縮病変や黄斑部新生血管病変を有さず軽度びまん性網膜萎縮病変までの症例を5年以上経過観察したところ,13.2%の症例において網膜病変では説明のできない有意な視野障害が生じることを報告している1).緑内障性視神経症の視野変化は,ブエルム領域の暗点,鼻側階段であり,強度近視眼における視野変化でもこれらの部位に生じるが,加えて耳側欠損および盲点中心領域の欠損が生じやすいことが報告されている2).
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