New Information of Glaucoma
緑内障患者の「読む」能力を理解する
福地 健郎
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科眼科学分野教授
pp.48-52
発行日 2015年8月31日
Published Date 2015/8/31
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.01.50_0048-0052
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
「緑内障患者とQOL・ADLと読書」緑内障ではその進行に伴って視野という視覚機能が障害され,次第に視覚的QOL(生活の質:quality of life)が低下,その結果としてADL(日常生活における活動:activity of daily living)が低下する.これまでに後期視野障害を伴う緑内障患者では,運転,読書,転落,認知機能,うつ傾向,顔の認識能力などが障害されていることがしばしば報告されている1)-3).最近の研究から,患者自身が生活上の不自由を感じる以前の,視野障害の比較的初期から視覚的QOLは低下し始めているという報告がみられるようになってきた.生涯にわたって緑内障患者のQOL,さらにはADLを守りきるには,果たして視野をどの程度に維持することが必要なのか,今後の緑内障治療を考える上で重要な課題である.一般的にロービジョン外来を受診する患者のニーズとして最も多いのは読書である4).同様にロービジョン外来を受診する緑内障患者のニーズとしても読書が最も多い.図1に当科のロービジョン外来を受診した緑内障患者のニーズを示した.読書をニーズとして挙げた患者は実に81.8%で,続いて羞明55.4%,歩行52.1%,書字33.9%の順であった5).
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.