特集 網膜硝子体診療update
Ⅳ.注目の疾患
2.病的近視と特発性脈絡膜新生血管
強度近視眼の中心窩分離症の病態と分類
生野 恭司
1
1大阪大学大学院医学系研究科感覚器外科学(眼科学)
pp.270-273
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102499
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はじめに
近視性中心窩分離症(myopic foveoschisis)は1950年代に「強度近視における黄斑円孔のない後極部網膜剝離」として最初に報告された1)。当時は光干渉断層計(optical coherence tomograph:OCT)などの画像診断技術がなく,検眼鏡的に明らかに剝離したものが報告されている。ほかにもこのような症例は多数あったと想像されるが,分離や剝離が軽微であった場合,萎縮が強い強度近視眼では検眼鏡による診断が困難で,詳しい病態は長きにわたり不明であった。
OCTの出現で,その本態が網膜剝離と分離であること,少なくとも一部の症例は黄斑円孔や黄斑円孔網膜剝離に進行していくことが解明されるようになってきた2)。強度近視に特異的に発症することから,眼軸延長や後部ぶどう腫の形成などが深く関与することは想像に難くないが,OCTによる画像診断で,従来考えられなかった新しい疾患概念が確立されてきた。
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