特集 若き産婦人科医へのメッセージ
生殖免疫学の立場から
齋藤 滋
1
1富山大学学長
pp.67-74
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.30.04_0067-0074
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哺乳類の妊娠は,半異物である胎児を拒絶せずに妊娠が維持される。妊娠は移植免疫学的に謎に満ちている。半異物である胚が着床し,子宮内膜基底膜を突き破り間質に浸潤すると,胚周囲に母体リンパ球が集簇し,さらにリンパ球は活性化されており,胎児拒絶が起こってもおかしくないが,制御性T細胞や制御性樹状細胞により,胎児拒絶は防がれている。しかし,リンパ球活性化と免疫制御のバランスが崩れると着床障害,流産,妊娠高血圧腎症,早産などの産科合併症を引き起こす。これらの研究成果を国際誌に投稿した際の筆者の苦労話も含めて紹介する。
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