連載
グラビア・目で見る遺伝子改変マウスによる生殖機能解析 ―遺伝子改変マウスを用いた胚着床メカニズム―
寺川 純平
1
,
中村 さくら
2
,
伊藤 潤哉
3
1麻布大学獣医学部比較毒性学研究室講師
2麻布大学大学院獣医学研究科動物繁殖学研究室
3麻布大学獣医学部動物繁殖学研究室教授/麻布大学ヒトと動物の共生科学センター
pp.4-8
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.30.03_0004-0008
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ヒトの不妊症は,先進国を中心に世界中で深刻な社会問題となっている。事実,このような背景をもとに,わが国では2022年度から体外受精を含む高度生殖補助医療技術(assisted reproductive technology;ART)に対する保険適用が開始されている。ARTの改良・開発は進んではいるものの,それらの技術によって作出された受精卵(胚)を移植した際の妊娠率は20〜35%とされており1)-3),さらなる妊娠率の向上のためには,妊娠を支える母体側の環境についてより理解する必要がある。現在でもヒトの生体試料を用いた解析には多くのハードルがあることから,生殖機能の解析,とりわけ母体と胎児との最初のコンタクトである胚着床の機構の解明には,(遺伝子改変)マウスをモデルとした動物個体の解析が重要な位置を占め,これまでに多くの重要な因子が同定されている。本稿では,胚着床の機構について理解を深めるため,遺伝子改変マウスの作製や解析例を中心に,これまでに明らかになったメカニズムについて概説する。
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