連載
グラビア・目で見る遺伝子改変マウスによる生殖機能解析 ―卵巣におけるAID(activation-induced cytidine deaminase)機能の解析―
飯塚 崇
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系産科婦人科学助教
pp.4-8
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.30.02_0004-0008
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活性化誘導シチジンデアミナーゼ(activation-induced cytidine deaminase;AID)はアポリポ蛋白質 B mRNA 編集酵素(APOBEC)ファミリーに属する酵素であり,核酸のシトシン(C)からアミノ基を取り除きウラシル(U)に変換する活性をもつ1)。AIDはB細胞において免疫グロブリンのクラススイッチ,および可変領域の高頻度突然変異による抗原親和性変化に関与しており,獲得免疫(抗体多様性)において重要な役割を果たしている2)。また,AIDはシトシンの脱メチル化を誘導することからエピジェネティクスへの関与も示唆されている3)。以前よりAIDが非リンパ組織であるマウスの卵巣に発現していることは知られていたが,その局在と意義については不明であった4)。本来であれば遺伝子変異より保護されるべき生殖臓器である卵巣において,遺伝子変異を誘発し得るAIDが発現していることは,卵巣において何らかの重要な働きを担っていることを示唆する。われわれは,遺伝子改変マウスを用いて,AIDがマウス卵胞に発現し顆粒膜細胞と卵母細胞のクロストークに関わっていることを示した5)。
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