連載
ホルモンQ&A
大須賀 穣
1
1東京大学大学院医学系研究科産婦人科学教授
pp.71-73
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.27.03_0071-0073
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良性腫瘍と考えられる卵巣囊胞と鑑別を要するものに,機能性囊胞と悪性腫瘍がある。機能性囊胞の診断に役立つのは患者の年齢と内分泌環境である。生殖年齢女性ではホルモンの変化に応じて卵胞,黄体などがさまざまな変化を示す。その際に内分泌環境や卵巣機能に異常があると,しばしば卵巣囊胞の形態を示す。ただし,形態的には良性腫瘍と同様のことが多く,画像での鑑別は困難である。このような機能性囊胞は月経不順などの内分泌異常を伴っている場合やホルモン剤の使用により発症しやすい。定期的に観察していると自然経過により消失することが多い。また,卵巣広汎性浮腫(massive ovarian edema)は卵巣の間質の浮腫を伴う良性の充実性病変であり,慢性的・間歇的な茎捻転が原因と考えられている。急性腹症として発症することが多く,充実性のため悪性腫瘍と鑑別が困難なことも多いが,被膜直下の多数の卵胞が特徴的な所見として鑑別に有用である。多囊胞性卵巣症候群など卵巣が腫大している状況が背景にあることが多い。
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