連載
ホルモンQ&A
瀧内 剛
1
1大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学
pp.79-82
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.27.01_0079-0082
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不育症の定義は統一されておらず,診断・治療の方針を決定する際に苦慮することも少なくないが,リスク因子に準じた適切な治療を提示し実践することが必要である。“不育症”は単一の診断名ではなく,複数の病態が含まれる。日本生殖医学会編『生殖医療の必修知識2017』では「妊娠はするが流産・死産を繰り返して児を得られない場合」と定義されている1)。厚生労働省不育症研究班(2008~2010年度)では,「妊娠はするけれど2回以上の流産・死産もしくは生後1週間以内に死亡する早期新生児死亡によって児が得られない場合」を不育症と定義している2)。欧州生殖医学会では不育症(recurrent pregnancy loss;RPL)を,3回以上の連続した化学流産を含む妊娠のロス(pregnancy loss)と定義している3)。一方,米国生殖医学会ではRPLを,2回以上の子宮内妊娠確認後の流産と定義しており4),わが国でもこれを踏襲して,「生化学的妊娠は不育症の診断時の妊娠回数として考慮しない」とすることが多いが,明確な基準は定まっていない。
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