連載
ホルモンQ&A
大須賀 穣
1
1東京大学大学院医学系研究科産婦人科学教授
pp.63-65
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.25.03_0063-0065
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A1:ホルモン補充療法(hormone replacement therapy;HRT)の有効性と安全性に関しては歴史的経緯が参考となる。HRTの有効性の主要評価項目として冠動脈疾患,安全性の主要評価項目として浸潤性乳癌において大規模なWomen's Health Initiative(WHI)研究がなされた。この研究では中間報告において乳癌リスクの増大が問題となり,これがベネフィットを上回ることはないであろうと判断され,2002年に研究が早期に中止された。これ以降,HRTの実地臨床における実施数は激減してHRTはいわゆる冬の時代を迎えた。しかし,その後のWHI研究の追加解析やほかの研究成績により,HRTのベネフィットとリスクには多くの因子が関与していることが判明し,現在ではHRTは適切に使用すれば女性の健康増進に有益であることが知られるようになっている。適切な使用のためには,年齢/閉経後年数,健康状態/素因/基礎疾患を的確に評価し,投与法の選択において,薬剤の種類,投与ルート,投与量,投与方法,投与期間を個別的に選択することが重要である。
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