連載
ホルモンQ&A
澤田 健二郎
1
1大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学講師
pp.64-66
発行日 2018年3月1日
Published Date 2018/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.25.01_0064-0066
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A1:子宮内膜症を伴う不妊症に対して薬物療法が有効であるというエビデンスは認められない。2007年に報告されたコクランレビューでは,性腺刺激ホルモン放出ホルモン (gonadotropin releasing hormone;GnRH) アゴニストや経口避妊薬を含むいずれの排卵抑制治療も,プラセボとの比較および無治療との比較において,妊孕性の改善に寄与しないことが示されている(オッズ比1.02,95%信頼区間 (CI) 0.70~1.52,p=0.82)1)。GnRHアゴニストなどの薬物療法を行っている間は排卵が抑制され妊娠が成立しないこともあり,欧州ヒト生殖学会議 (ESHRE) の2014年のガイドラインにおいて,「子宮内膜症患者に対して妊孕性改善を目的として排卵抑制を伴うホルモン治療を行うべきではない(グレードA)」と明記されている2)。少なくとも妊孕性の改善のみを目的にGnRHアゴニストを子宮内膜症患者に投与すべきではない。
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