連載
ホルモンQ&A
山崎 玲奈
1
,
小野 政徳
2
1金沢大学医薬保健研究域医学系産科婦人科学
2金沢大学医薬保健研究域医学系産科婦人科学講師
pp.51-54
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.27.02_0051-0054
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タモキシフェン(TAM)は,乳腺のエストロゲン受容体に結合し,抗エストロゲン作用を示すことにより癌細胞を抑制する1)。一方,卵巣に対しては,アゴニストとしての作用をもち,排卵誘発剤としての報告もある。このため,単独で使用すると卵巣が過剰刺激されることがあり,これについては半世紀前に提言され2),血清エストラジオール(E₂)値やプロゲステロン値の上昇3),卵巣の機能性囊胞の形成が報告されてきた。このTAMの卵巣過剰刺激(ovarian hyperstimulation;OHS)発生のメカニズムは,視床下部下垂体系のpositive,negative feedbackの阻害による単一あるいは多数の卵胞の発育によるといわれている4)。OHSの際の血清E₂値は1,000pg/mLを超えることも多いが4),乳癌への影響は明らかにされておらず,乳癌再発への影響は今後の研究課題である。
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