特集 生殖医療UP-TO-DATE
特集にあたって
神崎 秀陽
1
1関西医科大学名誉教授・常務理事
pp.10-10
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.23.03_0010-0010
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昨年秋に発表された日本産科婦人科学会の統計では,わが国で体外受精治療による最初の出生児が報告された1983~2013年までの30年間に,生殖補助医療(assisted reproductive technology;ART)治療によって累積で384,304人の児が出生している。現在,治療は年40万周期に達しようとしており,毎年4万数千人の児がART治療によって出生し,全出生児の20数名に1人という状態となってはいるが,過去数年の治療成績はほぼ横這いであり,さらなる向上の兆しがあるとはいいがたい現況にある。また,2012年度の報告では,ART治療を実施している555施設中で年間100周期以上の治療を行い治療成績も安定,すなわち生産率が10%以上は380施設で,特に500周期以上の治療を行っている155施設の成績が良好となっている。治療成績は女性の年齢や背景により大きく左右されるため,成績のみで各施設の質を比較するには慎重でなければならないが,良好なART治療成績を維持するには,施設の規模・環境が重要であることを示唆するデータであろう。
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