連載 Medical Scope
脊椎関節炎の最新研究―横断的ゲノミクス解析による疾患病態解明
出口 剛士
1
,
岡田 随象
2
1大阪大学大学院医学系研究科遺伝統計学/和歌山県立医科大学整形外科学講座
2大阪大学大学院医学系研究科遺伝統計学 教授/東京大学大学院医学系研究科遺伝情報学/理化学研究所生命医科学研究センターシステム遺伝学チーム
pp.60-64
発行日 2024年3月10日
Published Date 2024/3/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.41.01_0060-0064
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脊椎関節炎の病態メカニズムは現在いくつかの仮説が提唱されているが、病態メカニズムの解明には至っていない。HLA-B27(human leukocyte antigen B27)が寄与することが発見されて、さまざまな遺伝学的アプローチで研究された。ゲノムワイド関連解析により、HLAに関連した遺伝子だけでなく、IL23経路、TNF経路、アミノペプチダーゼという予想もしなかった疾患原因遺伝子の特定がなされ、一連の遺伝子群として研究されている。それに伴い治療ターゲットの特定がなされ、IL17A阻害薬などの治療薬の開発がなされた。近年では多数の遺伝子から診断予測ツールの開発や正確な遺伝子マッピングによるタンパク質内の原因部位の特定ができるようになり、疾患解明に役立っている。
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