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特集 循環器系薬剤の新しい視点—検証と展望
テーラーメイド薬物療法と薬理ゲノミクス
Tailor-made Therapeutics and Pharmacogenomics
田中 利男
1
Toshio Tanaka
1
1三重大学医学部薬理学
1Department of Molecular Cellular Pharmacology, Mie University School of Medicine
pp.169-173
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902425
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はじめに
1953年のワトソン(James Watson)とクリック(Francis Crick)によるDNAの二重らせん構造の発見が分子生物学の出発点であり,その後医学生物学全体に広く深く分子生物学の影響が及んだ.その結果,分子レベルで医学を解明することが可能になった.しかしながら,医学/医療において当初より大きな課題である薬物応答性の個体差については科学的基盤を構築するには至らなかった.そこで,薬効評価における個体差を考慮することは,実際の診療では不可欠であるが,科学的統計解析において加味することは長い期間困難であった.
一方,1988年に同じワトソンが米国国立ヒトゲノム研究センター所長に就任し,ヒトゲノム研究の萌芽が開始された.その後,ヒトゲノムプロジェクトや他種のゲノムサイエンスへの動きが急激になっている.その結果,2001年2月にヒトゲノムドラフトシークエンスが出版された1).一方,それに並行して薬理ゲノミクスの展開も認められ,1999年には第1回の国際薬理ゲノミクス会議も筑波で開催された2).
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