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関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は,持続的な滑膜の炎症と進行性の関節破壊によって特徴づけられる慢性免疫介在性の炎症性疾患であり,さまざまな程度の機能障害やQOLの低下をもたらす。RAの有病率は人口の約1%であり,男性よりも女性のほうが罹患しやすい1)。RAの治療目標は,滑膜の炎症の軽減,疼痛の緩和,関節の損傷の防止,身体機能の低下の防止である。RAの病態には,腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)やインターロイキン(IL)-6を含む多くの炎症性サイトカインが関与している。生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(biological disease-modifying antirheumatic drugs:bDMARDs)は種々の炎症性サイトカインを高い特異性で標的とすることで,RAの治療にbreakthroughをもたらした。2012年には世界医薬品売上高の上位3位をTNF阻害薬(アダリムマブ,インフリキシマブ,エタネルセプト)が独占するまでに至った。わが国においては,2003年のインフリキシマブの承認を皮切りに新たな薬剤が次々に承認され,現在5種類のTNF阻害薬と2種類のIL-6阻害薬(トシリズマブとサリルマブ),T細胞選択的共刺激調節剤のアバタセプトの計8製剤がRA治療薬として使用可能である(表)。投与方法,投与間隔,メトトレキサート(methotrexate:MTX)の併用などに細かい違いはあるものの,有効性,安全性ともに製剤間で大きな差はなく,ガイドラインにおいても8製剤はすべて同等に位置づけられている2)3)。また,日本では未承認であるものの,B細胞を標的とした抗CD20抗体リツキシマブもRA治療薬として海外では使用され,ガイドラインにおいても他の生物学的製剤と同等に位置づけられている2)。さらに,2017年7月,破骨細胞を標的とした抗RANKL抗体デノスマブが,RAに伴う骨びらんの進行抑制に対して承認された。これらの薬剤の他にも顆粒球単球コロニー刺激因子(granyulocyte macrophage colony-stimulating factor:GM-CSF)などをターゲットとした製剤4)の開発も進められている(図)。今回はTNF製剤以外の生物学的製剤に着目する。「KEY WORDS」IL-6阻害薬,CD80/86阻害薬,抗CD20抗体,GM-CSF阻害薬
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