特集 基礎と臨床から炎症性腸疾患を診る
特集にあたって
仲瀬 裕志
1
1札幌医科大学医学部消化器内科学講座教授
pp.7-7
発行日 2020年11月20日
Published Date 2020/11/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.38.11_0007-0007
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炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は慢性あるいは寛解・再燃性の腸管の炎症性疾患を総称し,潰瘍性大腸炎とクローン病がIBDの多くを占める。IBDは遺伝的な素因に食事や感染などの環境因子が関与して腸管免疫や腸管内細菌叢の異常をきたして発症すると考えられているが,いまだに原因は解明されていない。ともに複雑な病態を有し,主として腸管を傷害し種々の臨床症状を呈する。そして,日本における患者数は増加傾向にある。IBDは比較的若年に発症し,10歳代後半から30歳代前半に好発することが知られている。しかし,近年高齢者人口の増加に伴い,高齢発症のIBDは決して稀ではないことが明らかとなってきている。また,IBDは生命予後が比較的良好で経過が長く,有病者は次第に高齢層へと移行し,今では高齢のIBD患者を診る機会も増えている。そして,患者数の増加に伴い,IBD専門家以外の一般内科医が日常臨床でマネジメントする機会が増えていることには間違いがない。現在,IBDに関する基本的な治療・管理について多くの医師が学ぶべき時代へと突入したといっても過言ではない。
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