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パーキンソン病を確実に診断できる検査方法は現時点では確立されておらず、臨床診断は症状に基づいて行われています。近年では2015年にInternational Parkinson and Movement Disorder Society (MDS)から診断基準が提唱されており、運動緩慢がみられることが必須で、加えて静止時振戦か筋強剛のどちらかまたは両方がみられることとされています。疫学調査では罹患率は14~19人/10万人、年有病率は100~300人/10万人程度と推定され、加齢に伴い罹患率が上昇することが知られています。今後は高齢者人口の増加が続いていることから患者数の増加が続いていくと予想されます。現時点で発症の病態に関与することがわかってきた因子としては、①ミトコンドリア機能障害、②神経炎症、③蛋白分解系障害、④リソソーム障害、⑤α-シヌクレインの沈着などがあります。特に近年では腸管病態に関与している可能性が注目されています。治療は薬物療法が基本とされますが、長期罹患者では薬物の反応性が不安定になりやすく、脳深部刺激術などの手術を行うことがあります。また症状のさらなる改善やQOLの向上が期待できる点からリハビリテーションの提供も行われます。薬物療法による吐き気・食欲低下・眠気・口渇などの症状がみられることがある場合は食べやすい食事の選択が大切です。また進行期の患者では薬の効果の持続時間が短くなってしまう現象が出現することがあります。薬のコントロール困難な場合は1日に摂取するたんぱく質のうち、体を動かすことが必要とされる朝と昼に摂る量を7~15gに減らし、不足分を夕食で補うという「朝昼のたんぱく質制限食療法」が知られています。
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