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2017年米国食品医薬品局(Food and Drug Administration;FDA)が難治・再発急性リンパ芽球性白血病(acute lymphoblastic leukemia;ALL)と非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma;NHL)を対象として,CD19特異的キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor;CAR)導入T細胞(CAR-T)療法を承認した。わが国においても,複数の企業治験が遂行中であり,近い将来,実臨床の現場にCAR-T療法が導入されるであろう。CD19-CAR-T療法の臨床試験においては,劇的な臨床効果が得られた一方で,重篤な有害事象への対応が課題となっている。細胞療法では,化学療法薬や分子標的薬の薬物動態とは異なり,輸注した細胞が増幅し,体内の存続期間も比較的長い。すなわち,有害事象の発現期間と重症度はCAR-Tのライフスパンの影響を受けるため,抗体医薬と同じ分子を標的とした場合でも,より長期にわたり重篤な有害事象が起こるリスクがある。米国を中心としたCAR-T療法の開発の過程で,副作用とその対策についての知見が蓄積されてきた。本稿では,臨床現場で最も留意すべき有害事象であるサイトカイン放出症候群(cytokine-release syndrome;CRS)と神経毒性,“on-target, off-tumor”効果について,米国の臨床試験で得られたエビデンスを中心に概説する。また,現在の主要な臨床試験でCAR-Tの製造に用いられているウイルスベクターと発がんリスクについても述べる。「KEY WORDS」キメラ抗原受容体(CAR),サイトカイン放出症候群(CRS),神経毒性,on-target, off-tumor効果,ウイルスベクター
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