特集 てんかん診療Update
病因と疫学
林 雅晴
1
1淑徳大学看護栄養学部看護学科 教授
キーワード:
素因
,
構造異常
,
有病率
,
年間発生率
Keyword:
素因
,
構造異常
,
有病率
,
年間発生率
pp.9-12
発行日 2018年8月20日
Published Date 2018/8/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.36.08_0009-0012
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てんかんは,乳幼児・小児から成人・高齢者に至る年齢層で発症し,中枢神経系に関係する疾患はすべて,てんかん発作を引き起こす可能性がある。また,てんかん診療において,病因の特定は特異的な治療に結び付く可能性があり,病因に関する知識が必要となる。前述のごとく,てんかんは乳幼児・小児から成人・高齢者に至る患者数の多い神経疾患であるため,発達障害や精神障害への対応,ときに脳神経外科治療を要するなど,多岐にわたる診療科が関係する。2015年5月世界保健機関(World Health Organization;WHO)総会でてんかんに関する特別決議が採択され,「医療,教育,福祉,労働,地域社会など社会のあらゆる面で,てんかんに関する理解の向上と啓発活動を重視し,てんかんのある人の社会への受け入れを促進する」と提言がなされたが,本提言の実現にはてんかん患者に関する詳細な疫学調査が必要である。2017年, 国際抗てんかん連盟(International League Against Epilepsy;ILAE)の用語・分類委員会はてんかん発作とてんかん分類に関する新たな提言を行った1)。てんかん医療の関係者の多くが,1981年てんかん発作分類,1989年てんかん分類に長年にわたって慣れ親しんできており,新しい用語を含む2017年分類が定着するのにはしばらく時間がかかると予想される。本稿ではなるべく2017年分類に準じるかたちで,てんかんの病因と疫学をレビューするとともに,疫学研究に関する今後の展望についても言及する。「KEY WORDS」素因,構造異常,有病率,年間発生率
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