特集 プリオン病:その実態に迫る
プリオン病の治療
坪井 義夫
1
1福岡大学神経内科学教室教授
キーワード:
プリオン病
,
治療
,
抗体
,
幹細胞
Keyword:
プリオン病
,
治療
,
抗体
,
幹細胞
pp.55-58
発行日 2017年2月20日
Published Date 2017/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.02_0055-0058
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プリオン病は,蛋白質性の感染因子によって発症する神経変性疾患である。その他の神経変性疾患と同様,脳内への変性した異常蛋白の蓄積が,疾患の発症と進行に関与していると考えられている。プリオン蛋白は,正常プリオン蛋白(PrPC)と異常プリオン蛋白(PrPSc)に分けられ,その違いは蛋白の高次構造にある。プリオン病で脳内に蓄積する異常蛋白は,PrPScである。蛋白質が正常に機能するために必要なアミノ酸の折り畳み(フォールディング)が正常に行われて生成されるPrPCはαヘリックス構造を呈しており,アミノ酸の折り畳みがうまくいかず(ミスフォールディング)生成されるPrPScはβシート状構造をなしている。PrPCは人間の体内に広く発現しており,特に中枢神経と末梢神経の神経単位膜に存在する。プリオン病においては,PrPCからプロテアーゼ抵抗性のPrPScへの構造変換が主病態と考えられている1)。「KEY WORDS」プリオン病,治療,抗体,幹細胞
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