特集 アルツハイマー型認知症診療のBreakthrough
特集にあたって
中村 祐
1
1香川大学医学部精神神経医学講座教授
pp.7-8
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.34.07_0007-0008
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厚生労働省は,2015年,全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表した。65歳以上の高齢者のうち,5人に1人が認知症に罹患する計算となり,わが国としては少子化とともに最大の問題となっている。認知症発症の最大の要因は加齢であることから,癌などの重大疾患の治療が進めば進むほど,認知症を患う人の数が増えることになる。また,逆に糖尿病などの生活習慣病は認知症の発症を早めることから,予測よりも将来認知症を患う人の数が増える恐れがある。認知症の多くの部分は,アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症,Alzheimer's disease;AD)が占めると考えられており,現在までに世界中でADの病態と治療法の研究が盛んになされてきた。しかし,現在,ADの治療薬は少なく,疾患の病態そのものに効果を発揮する薬剤の開発に成功していない。1985年にMastersらによりADの病態の核と考えられているアミロイドβ蛋白が発見されたが1),その後,30年を経過してもアミロイドβ蛋白に関係した治療薬はできていないのが現状である。
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