特集 遺伝子治療の現在
遺伝子治療の開発に関するわが国の規制と海外動向
山口 照英
1
1国立医薬品食品衛生研究所主任研究官
pp.51-59
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.04_0051-0059
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「はじめに」わが国でアデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase;ADA)欠損症に対する遺伝子治療臨床研究が実施されて今年で20年になる。遺伝子治療は疾病を遺伝子レベルで治療する先端医療として期待されてスタートしたが,X連鎖重症複合免疫不全症(X-linked severe combined immunodeficiency;X-SCID)遺伝子治療での白血病発症1)やアデノウイルスベクターを用いた治療でベクターの大量投与による死亡事故2)などから一時停滞がみられた。特に先端医療として細胞治療(再生医療)に注目が集まり,研究開発は遺伝子治療のほうがより早くスタートし長く承認品目のない状態が続いているにもかかわらず,各国で複数の細胞治療製品が承認され,遺伝子治療製品の開発の遅れが指摘されてきた。しかしここ数年の間に,遺伝子治療臨床開発で,特に先天性遺伝疾患3)4)やレーバー病5),腫瘍抗原特異的細胞傷害性T細胞を用いた治療で画期的な臨床効果がみられており,今後開発が期待される多くの領域が存在することが指摘されている。
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