特集 救急医療:現状と課題
災害への備えと災害医療・「失敗の本質」に学ぶ災害時の医療の組織戦のあり方
山口 芳裕
1
1杏林大学救急医学教室教授
キーワード:
『失敗の本質』
,
組織戦
,
災害医療
Keyword:
『失敗の本質』
,
組織戦
,
災害医療
pp.45-48
発行日 2015年3月10日
Published Date 2015/3/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.03_0045-0048
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「はじめに」『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』(戸部良一,他 著,中央公論新社)は,日本がなぜ大東亜戦争に負けたのかという,日本の「戦い方」,「負け方」を研究対象としたものである。その目指すところは,序章に述べられているように,作戦の失敗例からその組織的欠陥や特性を析出し,組織としての日本軍の失敗に籠められたメッセージを現代的に解読することにある。そこで,その組織論的究明によってもたらされた理論的分析のための要因整理を踏まえて,災害時医療の今日的課題の提示と解明を試みた。なお,引用ページは第52版中央文庫版をもとに表記した。「Ⅰ.失敗の本質その1:明確な戦略目的の不在」戦略上の失敗要因の第一は,「曖昧な戦略目的」である。いかなる軍事上の作戦においても,そこには明確な戦略ないし作戦の目的が存在しなければならない。『失敗の本質』においては,ノモンハン事件における最高統帥部たる大本営と関東軍との間の「察し」を基盤とした意思疎通の不明瞭性,あるいはミッドウェー,レイテの2つの海戦における目的の曖昧性にその例を示している。「KEY WORDS」『失敗の本質』,組織戦,災害医療
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