特集 女性のライフコース疫学研究「日本ナースヘルス研究(JNHS)」のすべて
ねらい
寺内 公一
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1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科茨城県地域産科婦人科学講座
pp.489-489
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000691
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日常診療のなかで生じたぼんやりとした疑問:Clinical Question(CQ)をPECO/PICOの形でResearch Question(RQ)として構造化し,それを “FIRM2NESSチェック” によりブラッシュアップする.こうして得られたRQに対応する最適な臨床研究のデザインを選択する….京都大学の福原俊一名誉教授がその著書「臨床研究の道標」(2013年)で述べられている研究手順である.研究デザインの選択は,研究者が介入を計画しない「観察研究」>比較対象のある「分析的観察研究」>要因とアウトカムの測定時点が異なる「縦断研究」と進み,要因(exposure:E)の測定から一定の時間を経てからアウトカム(outcome:O)を測定するのが「コホート研究」である.コホート研究はこの時系列に基づき,正確に測定したEとOとの時間的関係を示すことができるとともに,交絡因子を研究開始時に測定しておくことができる,Eに対して複数のOを測定できる,リスク比・発生率比だけでなくリスク差・発生率差を計算できる等の長所を有するが,一方で膨大な研究資金と労力を消費しながらそれらの大部分がOを起こさない人の追跡・観察に用いられるという短所を抱えており,組織経営に成功した少数の優等なプログラムのみが長期生存を許される過酷な世界である.
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