特集 これでマスター! 最新 産婦人科ホルモン療法
ねらい
五十嵐 敏雄
1
,
石本 人士
2
,
寺内 公一
3
,
宮城 悦子
4
1帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
2東海大学医学部専門診療学系産婦人科
3東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科茨城県地域産科婦人科学講座
4横浜市立大学医学部産婦人科学教室
pp.1-1
発行日 2024年3月25日
Published Date 2024/3/25
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000621
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
今回の増刊号のテーマはホルモン療法である.ホルモンとは特定の細胞でつくられ血流で全身に運ばれてホルモン標的臓器(細胞)に作用して特定の応答を引き起こす物質と定義されてきた.ホルモン作用は多岐にわたることが多いが,ホルモンにはそれぞれ受容体があって血中にホルモンが分泌または投与されても標的細胞が受容体を発現していないと十分に作用が発揮されない.そのためホルモンを投与する前には,ホルモン受容体発現の月経周期や妊娠週数や年齢などによる修飾を考える必要がある.臓器により感受性が異なるホルモン剤も開発されている.投与法に関しても考える必要があって,従来のホルモン剤の内服や注射などの全身療法だけではなく,貼付剤や塗り薬,点鼻薬や子宮内システムなどの局所療法が開発され選択肢が広がっている.局所療法は今や広く使われ,ホルモンは全身作用というイメージを変えている.産婦人科領域では視床下部-下垂体-卵巣-子宮内膜という重要な軸があり,女性の身体は様々なホルモンによりコントロールされている.最近ではキスペプチンなど視床下部の研究が進み,思春期や排卵や更年期障害などの事象も解明されつつある.ホルモンというと排卵・受精・着床などの生殖内分泌領域や月経前緊張症,更年期障害などの女性医学領域だけに関係していそうだが,妊娠の成立,妊娠中の機能維持,分娩などの周産期領域,さらには子宮筋腫や子宮内膜症,子宮腺筋症,ホルモン感受性腫瘍,ベストサポーティブケアなどの腫瘍領域にも大きく関与している.各領域で新しい薬が開発されていて,最新かつ最善のホルモン療法をマスターすることは女性を診療するうえで大きな武器になる.
Copyright © 2024, SHINDAN TO CHIRYO SHA,Inc. all rights reserved.