特集 図表・チャートでパッと理解! ここまでわかった産婦人科の病態生理
第1章 周産期
A.妊娠中の産科異常
6.前置胎盤・癒着胎盤
山口 宗影
1
,
近藤 英治
1
1熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学
pp.38-43
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000130
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前置胎盤や癒着胎盤は,胚の着床障害が原因である.胚の子宮体部の着床が障害され,子宮下部に着床すれば,前置胎盤となる.前置胎盤では,子宮下節の伸展に伴って胎盤が剝離し出血をきたす.また,胚は,胎盤絨毛の浸潤を制御する脱落膜を介さずに着床すれば,癒着胎盤となる.胎盤形成の際に,絨毛外栄養膜細胞(EVT)が過剰に子宮側に浸潤し動脈壁まで達するため,血管は拡張し血流は高速となりラクナが形成される.その後,この異常血流により胎盤と子宮の間にフィブリンが沈着し,胎盤の剝離は困難となる.帝王切開術や体外受精胚移植の増加に伴って,前置胎盤や癒着胎盤の頻度は増加している.
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