特集 妊産婦死亡をどう防ぐかⅡ
各論
16.前置癒着胎盤
船倉 翠
1
,
兵藤 博信
1
M. Funakura
1
1東京都立墨東病院産婦人科
pp.1557-1561
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001120
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「前置癒着胎盤」と聞いてわれわれが思い浮かべるのは,一般的な子宮下節横切開を行った既往帝王切開症例において,既往子宮筋層創部に広く胎盤の癒着を伴う前置胎盤である。開腹すると,既往子宮切開創が胎盤により膨隆し周囲に怒脹した新生血管を隆々と認め,胎盤が透見される。そして,児娩出後には子宮体部の収縮により,だるま状の形を呈する。このような,典型的な前置癒着胎盤症例は,今日,妊婦健診の超音波検査で容易に「疑える」ようになっている。そのため,近年では,大量出血や子宮摘出術に備え,いかに準備し,どのような戦略を練るかが重要となっているが,その管理方針は各施設ごとに工夫され,異なっている。例えば,当院では予防的IVR併用下に計画的二期的子宮摘出術を行うことで,比較的安定した周産期管理を行うことができている。すなわち,両側内腸骨動脈バルーン留置下に,帝王切開術(CS)を行い,UAEを含めたTAE後,計画的二期的に子宮摘出を行うSEH戦略である。今回は当院での管理指針も例示しながら,前置癒着胎盤に対する戦略についてまとめたい。
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