特集 ポストコロナ時代の感染症診療
第II章 感染症診療各論
[5]循環器感染症
2 心筋炎・心膜炎
十菱 大介
1
1東京大学医学部附属病院感染症内科
pp.137-140
発行日 2023年3月23日
Published Date 2023/3/23
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000142
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Summary
1.心筋炎は発症初期に診断するのが困難な疾患ではあるが,経過中に急激に増悪して致死的になることもあるため,急性発症の胸痛や息切れでは必ず鑑別診断にあげる必要がある.
2.劇症型心筋炎の死亡率はきわめて高く,救命のためには集中治療による全身管理が必須となる.状況に応じてIABPやPCPSなど循環動態補助を併用する.
3.急性心筋炎,心膜炎はウイルス感染が原因であることがほとんどだが,一般的に使用可能な抗ウイルス薬はなく,血行動態維持と全身管理が治療の中心となる.
4.新型コロナウイルス感染後の心筋炎や,mRNAワクチン接種後の心筋炎,心膜炎が報告されている.軽症例が多いとされるが,胸痛などの症状の訴えがある場合は十分に注意して精査を進める.
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