Japanese
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特集 心筋炎――医療と医学の最前線
心筋炎・心膜炎の診断と病理
Diagnosis and pathology of myocarditis/pericarditis
尾上 健児
1
Kenji ONOUE
1
1奈良県立医科大学循環器内科
キーワード:
心筋炎
,
病理診断
,
リンパ球性心筋炎
,
好酸球性心筋炎
,
巨細胞性心筋炎
,
心膜炎
Keyword:
心筋炎
,
病理診断
,
リンパ球性心筋炎
,
好酸球性心筋炎
,
巨細胞性心筋炎
,
心膜炎
pp.971-976
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28211971
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心筋炎は,わが国のガイドラインでは「心筋を主座とした炎症性疾患である.心膜まで炎症が及ぶと心膜心筋炎とよばれる」と定義される1).またWHO/ISFCでは「心筋細胞の変性・壊死を伴う心組織への炎症細胞浸潤を組織学的に認める心筋の炎症性疾患」と定義される2).一方,心膜炎は心膜を主座とした炎症性疾患である.心筋炎はその発症時間経過により急性・慢性に,浸潤細胞の種類・原因によりリンパ球性,好酸球性,巨細胞性,肉芽腫性に分類される.また急性心筋炎のなかでも重症度が高く,機械的心肺補助やカテコールアミンの使用を要するような循環不全を呈する場合は劇症型心筋炎とよばれる.たとえば,劇症型(急性)好酸球性心筋炎というように,重症度,時間経過,原因が併記される.また急性心筋炎の一部は慢性化し,長期の経過で約15~20%の症例で拡張型心筋症様の病態を呈すると報告されている(遷延性慢性心筋炎)3).本稿ではこれらの診断について,確定診断に重要な病理所見を中心に概説する.
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