特集 こんなときどうする?他科とのコミュニケーションガイド
(第8章)腎臓内科・泌尿器科 産婦人科領域の難治性腹水症に対するCARTの実際
山田 洋輔
1
,
上條 祐司
1信州大学医学部附属病院 腎臓内科
キーワード:
生殖器腫瘍-女性
,
腹水症
,
腹水濾過濃縮再静注法
Keyword:
Ascites
,
Genital Neoplasms, Female
pp.351-354
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.34433/J00525.2022140480
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<産婦人科医におさえてほしいポイント>近年CARTの方法が改良されてきており、かつては濾過膜閉塞によって施行が困難だった婦人科領域の悪性腫瘍による腹水症にも問題なくCARTを行うことができるようになった。CARTの禁忌は、エンドトキシンが含まれる感染性腹水と骨髄移植直後などの高度免疫不全状態のみであり、その他多くの腹水症に適応がある。CARTを行うと単純腹水排液を行った場合に比べて血清アルブミン・総蛋白値の上昇、尿量の増加などといった循環動態の安定などが期待される。CARTでは処理にまわす腹水が多量な方が、処理後腹水投与の効果が大きいことを示唆する報告があるため、われわれは基本的に腹水の全量排液を目指し、なるべく多くの腹水を濃縮投与できるよう心がけている。CARTには重篤な副作用はほとんどないが、腹水投与中に一時的に熱発する症例があるため、ステロイドの予防投与による対処をお勧めしている。
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