Special feature コロナ禍で浮き彫りとなった高齢者施設・精神科病院の感染対策
■精神科病院の感染対策
❶精神科患者の特徴と療養の特殊性
糠信 憲明
1
1広島国際大学看護学部看護学科 准教授
pp.196-201
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000406
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精神科医療は我が国の医療において少なからぬ部分を占めている。病院数では8,238施設中1,059施設(12.9%),病床数では総病床数1,593,633床のうち精神科病院(246,006床:15.4%)と一般病院の精神病床(78,475床:4.9%)を合わせて20.3%となっている(図1)。近年,精神科病床の削減を含めた精神障害者の地域移行支援に向けた様々な施策がなされており,厚生労働省では2022年度に有識者による「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」の報告書が出されており,これまでの地域包括ケアを精神疾患をも含めたものとなる体制作りが進められている。精神科病床は徐々に削減が進められており精神科病床に入院している患者数は過去15年間で34.5万人から30.2万人へと4.3万人減少している。その一方で,外来患者数は223.9万人から389.1万人へと165.2万人の増加となっている(図2)。先述の報告書でも「精神疾患は誰もがなりうる身近な疾患」と位置付けられているものの,社会全体の医療費は30兆7813億円のうち「Ⅴ.精神および行動の障害」に割かれている医療費は入院・外来を合わせて1兆8982億円と全体の6.2%に過ぎず,経営が厳しい民間精神科病院も少なくない。
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