Special feature コロナ渦の感染経路別予防策のニューノーマル
■Research 環境消毒のニューノーマル―新型コロナを踏まえた新知見
❶環境消毒薬の効果と使用法
-―噴霧・空間消毒の是非を含めて
塩田 有史
1
,
浅井 信博
2
,
平井 潤
2
,
山岸 由佳
3
,
三鴨 廣繁
4
1愛知医科大学病院 感染制御部/薬剤部/感染症科 室長
2愛知医科大学病院 感染制御部/感染症科 講師
3愛知医科大学病院 感染制御部/感染症科 教授(特任)
4愛知医科大学病院 感染制御部/感染症科 教授
pp.187-191
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000241
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
昨今,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより,環境消毒の重要性が改めて認識されている。COVID-19は,飛沫感染が主体と考えられているが,換気不良な環境下では,咳やくしゃみがなくとも感染が成立する可能性がある。この場合の感染様式としては,COVID-19の病原体である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のウイルス粒子を含む飛沫などによって汚染された環境表面からの接触感染が生じると考えられている。接触感染が生じる感染症においては,環境消毒が必要とされる。SARS-CoV-2の他にも,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),バンコマイシン耐性腸球菌(VRE),多剤耐性緑膿菌(MDRP),多剤耐性アシネトバクター(MDRA),Clostridioides difficile,およびノロウイルスなどによる感染症では,感染様式に接触感染が含まれており,環境消毒が必要な場面が生じうる。環境消毒において消毒薬を使用する場合には,これらの病原性微生物毎に正しい消毒薬の選択,使用法が求められる。本稿においては,コロナ禍における新知見も踏まえて,環境消毒薬の効果と使用法の概要について述べる。
Copyright © 2021, Van Medical co., Ltd. All rights reserved.