Special feature 正しい選択と手順による 病院清掃のための『拭き消毒』
■Basic 環境消毒薬を正しく知って,正しい『拭き消毒』を導く
❶環境消毒薬の基礎知識
-―「環境消毒薬」と「他の消毒薬」の種類と違いを正しく知る
山崎 伸吾
1
,
藤原 満理子
2
,
石井 伊都子
3
1千葉大学医学部附属病院 薬剤部 薬剤主任
2千葉大学医学部附属病院 感染制御部 感染管理認定看護師
3千葉大学医学部附属病院 薬剤部長/教授
pp.12-16
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000093
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はじめに
衛生的な医療環境を作り上げるためには,洗浄,消毒処理,滅菌処理が欠かせない。洗浄,消毒,滅菌は,医療施設における居住環境や医療器材を衛生的に管理し,使用する目的で行われる処理法である。滅菌とはすべての微生物を殺滅し,消毒は微生物の菌量を減少させる。洗浄は滅菌処理や消毒処理と比較し微生物は残存するが,洗浄による物理的な除去を組み合わせて消毒処理や滅菌処理を行うことで,その効果を最大に得ることができる。本稿では消毒薬について紹介していく。消毒はすべての微生物を殺滅する滅菌とは異なり,微生物量を減少させる処理法であり,熱や紫外線照射などの物理的処理と消毒薬を用いる化学的処理に分類される。これらを理解し,滅菌または消毒を適応する対象や目的により,臨床現場でどのような処理法が必要であるかを適切に判断していくことが,感染制御に重要な観点である。特に臨床現場で多くのスタッフが使用しているのが消毒薬であり,その消毒対象は「ヒト」,「医療機器・器具」および「設備・環境」など様々である。
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