Special feature 知る・学ぶ・実践する 水回りの感染制御
■Approach 1
水回りの環境調査の実践
-―検査の方法・対象・頻度とその活用術
倉 文明
1
1国立感染症研究所 細菌第一部 客員研究員
pp.301-305
発行日 2020年10月15日
Published Date 2020/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000159
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
病院に通院・入院し,あるいは病院を訪問することにより新たに感染症を発生することが稀にある。病院では免疫力の低下している患者が多いことから,特に日和見感染症が問題となる。薬剤耐性菌やレジオネラがその代表的な起因菌である。筆者は長年レジオネラ属菌の検査や研究に関わってきたことから,水回りの環境調査について,本稿ではレジオネラを例として取り上げる。
レジオネラ症は細胞内に寄生して増殖する桿菌でレジオネラ属菌(Legionella spp.)による感染症である1,2)。高齢者や新生児,および免疫力の低下をきたす疾患を有する者が本症のリスクグループであり,市中感染に比べて医療関連機関で致死率が上昇する傾向にある。このため,医療関連感染(HAI:Healthcare-Associated Infection)の一つとして院内感染対策で注目されている。菌を含むエアロゾルや粉塵を吸入することにより感染して,重症の肺炎を発生することがある。
Copyright © 2020, Van Medical co., Ltd. All rights reserved.