MT Seminar―読んで、見て、深める臨床検査技師のための誌上講義
できていますか? 医療施設の水回り環境の感染対策
馬場 啓聡
1,2
,
金森 肇
3
1東北大学病院 総合感染症科
2東北大学大学院医学系研究科 総合感染症学分野 助教
3金沢大学医薬保健研究域医学系 感染症科学・臨床検査医学研究分野 教授
pp.1279-1284
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.32118/mt52121279
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要点
☑医療施設の水回り環境は湿度が高く,微生物の繁殖に適している.このため,上水道および蛇口・シャワーやトイレといった給排水に関連する設備をはじめ,加湿器・ネブライザーや装飾噴水など,水に関連した医療機器や施設内環境の多くが,水分を好む医療関連感染(healthcare-associated infection;HAI)の原因微生物による汚染の温床となりやすい.
☑シンクや排水管は一般細菌や抗酸菌,真菌などの多種多様な微生物によって汚染され,スプラッシュ・バック(水跳ね)によって微生物が周囲環境や医療従事者の手指に伝播し,HAIを生じる原因となる.
☑医療機関の水回り環境の感染対策として,上水道については温度管理と定期的な水中Legionella属菌検査が,医療機器や施設内環境については定期的な洗浄・消毒が,シンクについては乾燥状態の保持や周囲環境の整備および目的ごとに分別した使用の徹底が重要である.
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