特集 救急でも抜かりなく 感染対策エマージェンシー
救急医療における感染対策の在り方 現状の問題を踏まえ、確立すべき感染管理の体制とは
志馬 伸朗
1
,
椎野 泰和
1広島大学 大学院医歯薬保健学研究科救急集中治療医学
キーワード:
病院救急医療サービス
,
院内感染
,
感染予防管理
,
感染症伝播
,
部局間関係
Keyword:
Cross Infection
,
Emergency Service, Hospital
,
Interdepartmental Relations
,
Infection Control
,
Disease Transmission, Infectious
pp.7-12
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.34426/J04878.2018135918
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はじめに:救急医療における感染対策の 重要性
救急部門,とりわけ救急初療室(emergen- cy room:ER)は,病院外部からの患者を受け容れる医療機関の最前線・門戸として重要な位置づけにある。一般外来との差違は,受診する患者の重症度・緊急度が極めて多彩かつ高い上に,時として多くの患者が短時間に多数集積することである。必要な患者の事前情報が不足している上に,時間的問題からその聴取も容易ではない。このため,流行性感染症における患者―医療従事者,あるいは患者―患者間感染の危険性が高くなる。既知の流行性感染症はもちろんのこと,その診断治療法が確立していないものも含めた新興・再興感染症においては,特に重要な問題となる。
救急医療における感染対策に関しては,その特殊性を鑑みた特別な配慮や方策が求められる一方で,基本となる感染対策の重要性が再確認されるべき場でもある。救急医療における感染対策において重要な点を表1に示す。本稿では,これらの点に配慮しながら,救急医療における感染対策について,本特集に取りあげられた項目を中心に要点を概説する。現状において問題となり,今後確認や改善が必要な項目について,表21-4)にまとめた。下記に概要を記載するが,詳細については各項も合わせて参照頂きたい。
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