特集 一歩先を目指して再評価 これからのMRSA感染対策
科別MRSA感染対策のススメ 重点強化の考え方とその実践 耳鼻科
坂口 博史
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1京都府立医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
キーワード:
PCR法
,
意識性
,
患者教育
,
院内感染
,
ブドウ球菌感染症
,
保菌者状態
,
ユニバーサルプリコーション
,
感染予防管理
,
部局間関係
,
保健医療施設環境
,
病院耳鼻咽喉科
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
Keyword:
Awareness
,
Carrier State
,
Cross Infection
,
Health Facility Environment
,
Patient Education as Topic
,
Staphylococcal Infections
,
Interdepartmental Relations
,
Universal Precautions
,
Infection Control
,
Polymerase Chain Reaction
,
Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
pp.334-341
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/J04878.2019061887
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はじめに
耳鼻咽喉科診療はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が常在する鼻腔,咽頭,喉頭などの上気道を広く取り扱うため,MRSAに曝露される機会が多い。また,外来診療においては時間当たりの受診患者数が多く,診療ユニットや内視鏡などの使用頻度の高い機器を患者間で使い回すことになるため,水平伝播のリスクが高くなる。さらに,頭頸部癌の入院患者では化学放射線治療による局所免疫の低下から保菌や感染リスクが高まり,口腔や咽喉頭のような感染を生じやすい部位に対する侵襲の高い手術においてはMRSA感染が致命的となりえる。このような診療上の特徴から,耳鼻咽喉科は最も厳密なMRSA感染対策が行われるべき科の一つであるが,耳鼻咽喉科診療における適切な感染予防策は未だ確立していないのが現状である1)。京都府立医科大学附属病院(当院)耳鼻咽喉科(当科)では2012年以降,院内の感染対策部の協力を得て入院患者全例に対するMRSA保菌スクリーニングを実施することで,アウトブレイクを早期に検出し対応する試みを行ってきた。本稿ではこのようなMRSA保菌スクリーニングがもたらす効果と,アウトブレイクへの対応から得られた感染対策の要点について述べる。
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