臨床検査Q&A
Q 尿試験紙の亜硝酸塩(+),尿沈渣で細菌(+)の検体を培養検査に提出すると,検査結果が陰性となることがあります.どのような原因が考えられますか?
野崎 司
1
,
後藤 和人
2
,
浅井 さとみ
2
1東海大学医学部付属病院 臨床検査技術科
2東海大学医学部基盤診療学系 臨床検査学
pp.93-95
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.32118/mt52010093
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A 尿試験紙の亜硝酸塩は偽陽性が少なく,陽性の際には尿沈渣検査で細菌を認めることが知られています.このことから,ご質問の検体も細菌尿の可能性が高いと考えられます.検査結果が乖離する原因として,① 抗菌薬の影響,② 細菌の種類(嫌気性菌など),③ 培養検査の適切性,④ 検体の取り扱いや保存方法などが考えられます.特に,尿路感染症の治療のため,すでに抗菌薬投与がなされていると,死菌のため陰性となる場合があります.また鏡検時は生菌であっても,培養検査までに時間を要すると,細菌は治療中の抗菌薬に長時間曝露され続けるため検査結果は陰性となり,乖離の原因となります.
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